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十兵衛見参

 「Y十M~柳生忍法帖」で、せがわ先生は実に丁寧に原作を描いてくださっていると思います。月並みな意見となりますが、柳生十兵衛は格好良いし、堀の娘たちは原作よりも個性的に描写されているし、おゆらのデザインもこちらの想像をいい意味で裏切ってくれました。天海僧正が「バジリスク」と同じ容姿なのも、風太郎忍法帖が同じ世界の出来事であると想像させてくれて楽しいです。

 それでもどこか物足りなさを感じてしまうのは、悪役たる加藤明成・会津七本槍の、悪役としての影の薄さのせいでしょうか。「甲賀忍法帖」と違い、原作はわかりやすいほどの勧善懲悪ストーリーですが、それだけに悪役の存在感を徹底的に印象付けなければ、物語としてのカタルシスが低下してしまうのではないかと思います(物語冒頭の尼寺での虐殺シーンを控えめにしたのは、週間誌での連載上仕方のないことだったかもしれませんが)。加えて、会津七本槍がどこか憎めないというか、愛嬌があるというか・・・。個人的見解ですが、七本槍に読者ファンがつくというのは、「柳生忍法帖」として大失敗だと考えざるをえません。

 その「Y十M」も、いよいよ佳境にせまってまいりました。まもなく、「あのシーン」を紙面で見ることができるわけです。Vシネ「柳生忍法帖」では、「あのシーン」が実写化されましたが、どうにもチープでいけませんでした。どっかの公園で撮っているみたいな、非常にスケールの小さなシーンにされてしまって、とてもがっかりしたのを憶えています。「Y十M」ではどんな演出で見せてくれるのか、連載当初から楽しみにしていた場面なだけに、期待は膨らむばかりです。願わくば、「バジリスク」での弦之介瞳術発動シーン以上の衝撃があらんことを。

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