その時はきた
「Y十M」第78話。ついにこの時がきましたよ、みなさん!
忍法帖数あれど、私は迷うことなく、このシーンを忍法帖第一の名シーンに選びます。いや、山田風太郎作品群の中でも、間違いなく一番好きなシーンだと言い切ることができます。柳生十兵衛への、おゆらのスイッチが入ったのもこの瞬間ですが、思い起こせば、私自身の山田風太郎へのスイッチが入ったのも、まさにこの瞬間だったかもしれません。柳生十兵衛が柳生十兵衛たる所以、この後何作か柳生十兵衛が出てくる他の作家の時代小説を読んだりもしましたが、ついに山田風太郎の描く柳生十兵衛を凌駕する作品に、今の今まで出会うことがなかったのも、このシーンがあったればこそでしょう。
とはいえ、今回は、一話まるまるかけてやってもらいたかった、という願いもあったわけで。十兵衛が発する一語ごとに、明成やら銅伯やら、七本槍やら芦名衆やらが、いちいち赤くなったり蒼くなったりする様もたっぷりと見せてもらいたかったところです。ていうか、やっぱ芦名衆少なくね?
まあ多少の不満が出てしまうのは致し方のないところですが、それにしても、面白いなと思ったのは、原作の十兵衛が、笑いさえも交えながら冷然と言い放ったのに対して、せがわ版の十兵衛は、珍しく感情を表に出して言い切ったという違いです。
「あの女たちを見殺しにして・・・なんの士道? なんの仏法?」
というセリフ、原作では「?」が付いていないんですよね~。この微妙なセリフの改変で、原作とはちょっと雰囲気が違うなと匂わせておいて、2ページ先の見開きで、
「徳川家も滅んで結構!!」
と十兵衛やや怒り気味の顔でやられた日には、原作ファンとしてもたまらんですよ。この辺は、もっと落ち着いた感じで表現されるかと思っていたので、「バジリスク」の弦之介の瞳術発動シーンと同じくらいの衝撃を受けました。この場面だけで、せがわ先生が「柳生忍法帖」を描きたいと言っていた想いがバシバシ伝わって来たな~。銅伯の悔しそうな表情も、ざまあみろって感じで爽快でした。もうこの場を借りて言わせてください、
「せがわ先生、ありがとう!」
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