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「孤剣般若侠」

 ・・・柳生十兵衛は、ただ一人、敵の心臓部に足を踏み入れる。

 「Y十M」第77話、「孤剣般若侠」の回です。原作では、天寧寺に逃がした城からの使者に、十兵衛が詳しい話を聞きたいのに対し、堀女5人がどこまでも後を付いてくるため、結果天寧寺を素通りして行くはめに陥るという描写がありますが、せがわ先生はこのシーンをばっさり切り捨てました。いらないといえばいらない場面ですが、せっかくの城からの生き証人の存在を忘れるとは、ちょっと十兵衛がうっかり者に映りはしないでしょうか? でも、原作でもお気に入りの、深編笠に鶯のギミックシーンのアレンジ、

  

 鶯:ホ~~~

 十兵衛:「では」                                                       

 十兵衛:「(鶯:ホケキョ)じゃ」

 

 には和みました(笑)。で、意外とあっさりと鶴ヶ城へ乗り込むシーンが描かれたりして、もっと十兵衛の心情を表現するような「溜め」があってもいいのにな~と思ったのですが、テンポを重視されたようです。それにしてはずいぶん中途半端なところを次回への引きにしていますけど。鉄門の前の十兵衛が、門内の芦名衆の喧騒に動ずることなく、うっそりと佇んでいる場面で終わってくれてもよかったかなー。原作では地の文章で、

 

 『・・・・・・不敵といおうか、無謀といおうか。いや、ムチャクチャというべきだろう。いかに天稟壮絶の剣技に自負を抱いていようと、孤剣、四十万石の城に入って、柳生十兵衛、果たして何をしようとするのか。・・・・・・道場破りではあるまいし。』

 

 というような描写があるのですが、これをそのまま持ち込むわけにはいかないでしょうから、いわゆるコミックの「間」でこういったものが見たかった、というのが正直なところです。あと、城内の芦名衆が・・・想像していたよりも少ない? 「魔神の祭壇」は正面から見たかったとか(この辺は次回に期待か)、すいません、好きな場面が続くだけにやたら注文が多いです。とはいえ、いよいよ次回から十兵衛と沢庵の問答が始まるわけで。「柳生忍法帖」の最大の見せ場、水戸黄門でいうところの印籠お披露目シーンですよ~。過剰な期待を寄せてしまっていますが、よろしいでしょうか?

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