3日の夜の部で「エドの舞踏会」を鑑賞してきました。公演3日目となる日ですが、平日のせいか、満席というわけにもいかず、ちらほら空席が見受けられました。それでも9割くらいは埋まっていたでしょうか。年配の方が予想以上に多かったです。
私たちの席は3階だったので、予想はしていましたが、舞台のまあ遠いこと。しかも位置が高い。なんとなく、さいたまスーパーアリーナへ「PRIDE GP」を観に行ったときのことを思い出しました。今回はその時ほど遠くはなかったのですが(箱の大きさが全然違うから当たり前ですね)、舞台が始まるまでは、役者さんのセリフがちゃんと聞き取れるかどうか不安だったのですが、それは杞憂で済みました。
本番が始まる前に、一緒に行った彼女から「どんな話?」と聞かれたのですが、即答できず、「一回しか読んだ記憶がないから、忘れた」と返したのですが、舞台を見終わって、本当に全然覚えていないことに驚きました(笑)。唯一微かに頭の内に残っていたエピソードも、今回の脚本には取り入れられていなかったし・・・まあ、そのお蔭で新鮮な気分で鑑賞することができたから、ある意味よかったかと。
物語のほうは、山本権兵衛夫人の登喜を中心に、伊藤博文夫妻・井上馨夫妻・森有礼夫妻たちとの関わりを描きながら、クライマックスの鹿鳴館での舞踏会に進んでいきます。ところどころに笑いもあり(伊藤夫人の梅子が、登喜役の三田佳子さんに「歳はおいくつ?」と問うて、「21になります」と答えたときに、会場から失笑がもれましたが、そこは笑うところですね)、山田風太郎の明治物の中ではややマイナーな感のある本作ですが、私は最後まで楽しく観ることができました。また原作を読み直してみる気にもなったし。原作を読み返したら、また別の角度からこの舞台についての感想を書くかもしれません。
ベテランの役者さんたちの熱演もよかったですが、個人的には伊藤博文の娘の生子役の渋谷飛鳥さんの好演(この方には誰でもよいので、忍法帖の姫様役をいっぺんやってもらいたい!)と、井上家の養女・鳥子役の女の子の、鹿鳴館での所作やらがかわいくって、印象に残っています。あと、伊藤役の田中健さんと井上役の松村雄基さんのコンビ(?)もよかったなあ(腐女子の眼がキラリと光ったらしい)。
新橋演舞場での「魔界転生」を観たときも感じたことですが、今回の舞台もセットや装置が凝っていて、とても感心しました。私は映画好きですが、舞台って、思ったほど不自由じゃないのですね~。制約がある中でのモノ作りなので、かえって職人技が生きてくるみたいです。以前どこかで上演されたという「幻燈辻馬車」もそうだけど、明治物の舞台はまだまだ観てみたいな、と思いました。
心残りなのは、ケチらずにもっと近くの席で観ておけば良かったかな、ということくらいですかね。3等席は、舞台が遠い以上に、前の座席(手すり)との幅が狭くって、ちょっと居心地が悪かったです(エコノミー症候群になるかと)。もし、もう一度観に行く機会があるとすれば、来年の明治座での公演になると思うのですが、とにかくいい席で観ようとすると、チケット代が高いです・・・。
で、「エドの舞踏会」を観に行った次の日に、博物館明治村へ行ったところ、ちょうど「あなたの生まれた日の新聞を読んでみよう」という、300円入れると入力した日付の新聞がプリントアウトされる機械があったので、「明治19年5月6日で入力すれば、この舞踏会の様子を書いた記事が読めるかもしれない!」と、期待に胸を躍らせて印刷された新聞を見てみたら、なんか勅令とかがだらだら書いてあるだけで、心底がっかりしました。
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