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「Y十M」第88話

 七本槍最後の2人のうちのひとり・香炉銀四郎が、顔面の刀痕に寸分違わぬ軌道の一刀を十兵衛に叩きつけられて、物語から退場となりました。これで会津の誉れ七本槍は6人を失い、残るは漆戸虹七郎ただ1人。「蛇の目はひとつ」。

 前半、殺気のないおゆらの行動に不意をつかれた十兵衛が、銀四郎の不穏な動きに気付いて斬り伏せるまでを、流れるようなアクションで見せながら、後半は霞網にとらわれた堀のおんな5人を救うための駆け引きが、十兵衛と銅伯の間で展開されます。「明成の命をもらう」と、至極当然な手札を利用しようとする十兵衛に対して、銅伯はあくまでも沈着に場の流れを読み取ろうとします。普通に考えたら、一国の主とおんな5人の命が釣り合う訳もありませんが・・・にくい、あの長い鼻がにくい。

 結果、十兵衛がおんなたちを見捨てる事ができようはずもなく、やむなく刀を置く破目になるのですが、これは霞網を放ったあとに斬り落とされた銀四郎の腕が、本体の命令系統から分断されてもなお霞網をコントロールしていたからで、まさに銀四郎の執念勝ちといったところです。

 そういえば、本体から離れてもそれ自体が一個の生命あるもののように動く腕といえば、「自来也忍法帖」や「軍艦忍法帖」をまず思い出すのですが、客観的に観れば非常に愛想がなく不気味なもので、正直な話、「自来也忍法帖」の蘭麝待は初読の際に生理的にとてもいやな気分になった記憶があります。忍法帖はそれまでも読んでいたし、もっとビジュアル的にえぐい忍法も多いはずなのですが・・・なんでだろ(笑)。尤も、今回の銀四郎の腕の場合は、意思をもって動いているのではなく、すでに脳から出された命令を遂行するために動いているというだけで、「自来也」や「軍艦」の腕の忍法とは根本的に違いますけどね。

 あとは霞網のモニョモニョ加減が気になった回でした。

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