「クライマーズ・ハイ」
映画「クライマーズ・ハイ」を観ました。以下ネタバレありなので、映画・原作ともに未見の方はご容赦を。
映画を観た後、すぐに十数ページだけ読んでそのままにしてあった原作を読み始めたのですが、映画の中で、日航機の事故現場に足を踏み入れて、なかばおかしくなった神沢という記者が、ひき逃げされて死亡するというシーンがあり、どこかしら違和感をおぼえたもので、「あのくだりは、原作にはたぶんないのではないか」というようなことを、一緒に観に行った彼女に話したのですが、原作には本当にそんなシーンはありませんでした(神沢自体は存在し、同じような役割の人物は出てきます)。
実は、この小説でとりあげられた日航123便には、私の小学生時代の同級生が搭乗しており、残念ながら亡くなった520人のうちの一人となってしまったのですが、マスコミで扱われる大きい命と小さい命の対比を描写するために、わざわざ原作では死なない人間を殺したことに、そこはかとない虚しさをおぼえました(そもそもひき逃げ死亡事故なんだから、日航機の事故の大きさ以前に、記事にするのが当たり前なのでは?)。
もちろん、原作小説を2時間程度の映画に収めるための文法だということはよく判るのですが、「原作にはないな」と思いついた時点で、どこか映画の大筋から浮いているようなところがあったのでは・・・と考えてしまいます。
批判っぽい感想になりましたが、相対的に見ると、いうほど不満はない映画です。出演者の熱演に押されて、2時間があっという間に過ぎましたし。実際の事故を題材にしているのに、事故そのものへの言及が少なかったのも、いま思えば救いでしょうか。
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