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2008年9月

「信玄忍法帖」

 先日武田神社にも詣でたことだしと、おそらくは十何年かぶりに「信玄忍法帖」を再読してみました。

 機山信玄の生死の謎をめぐって、徳川家康の命を受けた服部半蔵配下9人の伊賀忍者と、死んだはずの山本道鬼斎を軍師に控えた6人の影武者の2年間にわたる暗闘は、真田源五郎と猿飛・霧隠主従の目を通して語られます。

 忍者同士の対決に焦点を置いた構成は、「忍者月影抄」や「外道忍法帖」に近いものでしょう。ときおり黒澤明監督の「影武者」を思い起こしながら読みました。

 初めて読んだときの印象は、これといって主人公が明確に設定されていないため(強いていうなら山本勘介か?)、さほど武田家の興亡に興味が無かった自分にとっては、どちらに肩入れをしたらよいのか判断がつかず、そのせいか評価もあまり高くなかったようなのですが、あらためて読んでみるといろいろと再発見があり、むしろ初めて読む忍法帖のような感覚にも捉えられ、久方ぶりに山田風太郎の小説を存分に楽しめたような気がします。

 それでも、【風陣篇】における上泉伊勢守の、

 「又太郎、うぬはもはや死んでおるわ」

 というくだりだけは強烈に記憶に残っていて、「なんかよくわからないけど凄い!」と痺れたのを思い出すのですが、再読してもやっぱり状況がよく飲み込めなかったです。この剣聖だけは、ホント、山田風太郎の作品群のなかでも特別枠ですねえ。

 あとヒロインというほどの出番はないですが、八重垣姫萌え(笑)。反論は受け付けません。

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「インフィニット アンディスカバリー」

 発売日に買って、ちびちびやっています。

 最初の監獄からの脱出に何度も失敗したり、暗闇の森に放り出されて右往左往したり、自分が戦闘不能になったら復活は仲間任せであえなくゲームオーバーになったり、次に行く場所がどこだかわからずだだっ広いマップをあちこち回る破目になったりと、序盤の設計が超不親切でやきもきしましたが、仲間が増えた時点でそうそうゲームオーバーになることもなくなり、なんとかゲームを楽しめる状況になってきました。

 いろいろと覚えることが多くて、コマンド入力式のRPGに親しんできた者としてはそれだけで難度が高いと思えるのですが、アクション主体なのだから、戦闘中にアイテムをボタンに振り当てて使えるようにして欲しかったかなあ。リアルタイムで進んでいるのに、ウインドウを開いてアイテムを使う仕様はテンポが悪いったら・・・。

 あと、これはうちのテレビの問題なのですが、画面上の字が読みづらくて仕方がないです(それでも「デッド・ライジング」の時よりはマシだといえる)。

 ほとんど予備知識もなく購入したので、ストーリーはもっとハードなものを予想していたのですが、ところどころゆるくて笑えます。それだけに主人公の戦う動機の弱さとか、封印軍の脅威みたいなものがぼやけて見えるという難点はありますが。

 

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「プレステージ」

 会社の人に「面白いよ」と薦められたので観てみました。

 この作品も、最後に大仕掛けがあるよ的な宣伝文句をつけられていましたが、荒木飛呂彦先生原作の漫画で、初めてその名を知ったニコラ・テスラの登場と、その奇異な実験と装置の存在にまさかと思いながら、さらにもう一枚上の結末を期待したものの、それはあっさりと裏切られる結果に。

 とはいえ、つまらなかったわけではなく、マジックのためにお互いそこまでするか、という主役2人の行動過程がとても興味深かったのです。エジソンなんか名前しか出てきませんでしたが、実在の人物を絡めてのプロット(結末の意外性も含めて)は山田風太郎の明治物のようだなあ、とも感じたり。

 こういう浪漫あふれる良作を観ると、どこかの映画会社で山田風太郎の明治物を映画化してくれないかなあ・・・としみじみ思ったりするわけです。

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「ミスト」

 原作スティーブン・キング×監督フランク・ダラボンの長編映画3作目「ミスト」鑑賞。

 ”映画史上かつてない震撼のラスト15分”というコピーはいかにも大仰で、せめて、”スティーブン・キングの原作『The Mist』を完全映画化”とでもしてくれたほうが良かったかな、と思いました。

 個人的には、ほのかなB級テイストの作風に好感が持てましたし、ラストもある程度予見できたとはいえ、充分衝撃的ではありましたが、この宣伝文句って、日本国内だけのものなのでしょうかねえ。

 予習をしないで観たので、霧繋がりで「ザ・フォッグ」のようなホラー風味の作品かと思っていたら、それよりもっとファンタジーで、”異次元”という単語が出てきたことに最初は驚きましたが、キング原作ならそれも納得できようものです。映画の序盤から”霧”の浸食が始まり、少しチープなデザインのクリーチャーに拍子抜けしながらも、最後までだらけることなく鑑賞することができました。

 私はキングの愛読者ではありませんが、原作にはない結末をつけたこの映画のラストには賛否両論あるようで、確かにもやもやした部分もあるのですが、曖昧なままで終わるよりは良かったような気がします。ただ、やっぱり、あれだと諦めるのが早すぎるような感じなので、ガス欠後に多少なりとも時間経過のシーンがあれば、納得もいくのになあ、とも思いましたが。

 大型モンスターのデザインは、「クローバーフィールド」よりも、こっちのほうが好みです。モンスターというより、”崇高な神”というイメージを受けました(「ベルセルク」の巨大ガニシュカみたいな)。

 ―――てか、歩き方がなんかに似てるなーと考えていたら、「モンハン」のシェンガオレンが頭をよぎりました(笑)。

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JAMMAショー

02_3 幕張メッセで開催中のJAMMAショーに行ってきました。

・「戦場の絆」

01_2  雨模様で、比較的人が少なく感じられた会場内ですが、それでもこのゲームの人気は群を抜いていました。

 職場の人間と一緒に出撃したのですが、すでにMSの選択の仕方から混乱したり(ザクⅡ改で出ますね、と事前に打ち合わせをしておきながら、なぜかゲルググに)、格闘攻撃を忘れていたりもしましたが、他の3人がやりこみプレイヤーさんだったので、ジオン公国勝利で終了。

Photo_3 今度はシートにマイクが内蔵されて、インカムをつけなくてもチャット出来るようになるそうです(要KIT購入)。ボタンを押しながらでないと喋れないので、素人の自分は常に押しっぱなし→格闘忘れる、でした。

・「鉄拳6」

Bl  新キャラ2人追加のようです。ライブモニターのデモ映像で、女キャラが取り外して敵に渡した頭が(!)爆発した時は、なんの冗談かと思いました。

・AMIブース

Ami  「KOF12」→キャラクターのグラフィックを一新、見た目だけでも新鮮なイメージとなりましたが、色遣いが「SVC CHAOS」ですねえ、という意見で一致。

・エクサムブース

00  「すっごいアルカナハート2」→キャラクターイラストが変わっても、ゲーム性はそのまんまでした。別タイトルの格ゲーが見たかったんだけどな・・・。

・セガブース

Sg3sd 「セガラリー3」→これって家庭用の移植だよなあ。国内での販売はあるのか?

Hummer_2 「HUMMER」→ハンドル2個つきの斬新な設計。ミスするごとにプレイヤーが入れ替わるとか(上手な人がやればミスしない場合もあると思うので、チェックポイントなんかでの交代もあるのでしょうが・・・)、プレイ後の相性診断もあるとか?

_02 メダルの「ブラックジャック」は自分も遊んでみたいです、先生!

・カプコンブース

01_3 「タツノコVSカプコン」を出展していました。

02_4 ・・・家庭用が同時発売って、ホントかなあ(遠い目)。

・ゲームキャラのコスプレで頑張っていたコンパニオンさん

Ami_2 AMIブースにて。

02_5 エクサムブースにて。

Photo_4 エクサムブースでのステージイベント。

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甲府土産

 武田神社に寄った折、境内の「姫の井戸」でペットボトルに水をつめている人が少なからずいて、「姫の井戸っていうラベルが貼ってあるけど・・・なんだろう?」と不審に思っていたら、神符授与所で専用の空ペットボトルを売っていました(笑)。

 ワインや、風林火山Tシャツも捨てがたかったけれど(「信玄もち」は東名の売店で買えるのでスルー)、今回はこちらをお土産にすることにしました。

_01 ←「姫の井戸」にて。奥に見える龍の口からお水がバシャバシャ出ているのを詰めて持ち帰れます。ご利益は、延命長寿・万病退散。

_02 ←ペットボトルは税込み100円でした。”飲用する場合は煮沸してください”と書いてあります。

 持ち帰ったはいいけど、もてあますな、これ。コーヒーでも点てて飲んでみましょうかね。

Cimg1964  「姫の井戸」―――躑躅ヶ崎屋形の内でも其の生活の中心となる場所に有り、一説によると信玄公のご息女誕生の折、産湯に使用した事に因り「姫の井戸」と名づけられたと云い、また「茶之湯の井戸」とも言われ、この井戸より発見された茶釜等の品々が現在方仏殿に展示されており、当時の生活を推測する貴重な資料であるとともに、この茶釜は勝頼公(信玄公継嗣)が京よりの客をもてなす茶会の折使用した茶釜とも云われており、屋形内で茶を点てるときにはこの井戸の水を用いたと伝えられております。

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忍法甲州路

 山梨へ行ってきました。県外とはいえ、お隣で身近なので、遠出という感覚もさほどなく、とくに行く当てもなかったのですが(・・・)、せっかくなので甲斐善光寺と武田神社を目的地に定めることに(こちらについては、また別の記事で)。

 今日は昼飯の話です。

 山梨に行くと、ほうとうを食べて帰るのが慣わしのようになっていて、今回は事前に下調べをして、いつもとは違うお店で食べようということになっていました。勝沼の「皆吉」というお店が有名だという話を聞いて、「それでは今回はそこにしてみようじゃないか」と、開店時間11時を少し回った頃に出向いてみたところ、すでに駐車場は満杯、整理にかり出されていた店員に誘導され、隣の民家の前で待機させられたのですが、待ち時間が150分以上だという事を小耳に挟み、さすがに「アメリカンギャングスター」を一本まるまる見ることが出来る時間を、ほうとうを食べるために待つための時間に費やす事は、無駄のように思われましたので、後ろ髪を引かれる思いで退散することにしました。

 祭日(敬老の日)とはいえ、あまく見ていた部分があったようです。でもここまで客が集まるっていうことは、よっぽど美味しいのでしょうねえ。自分はいくら美味しいとはいえ、食べ物のために並んで待つ性分ではないので、「皆吉」には日を改めて行ってみたいと思います(いつの日になるのかは判りませんが・・・)。

 で、結局、いつもと同じ店で食べたのです(笑)。

Photo_22 ←自分は「焼豚ほうとう」を注文。メニューの写真のネギ多めに惹かれたのですが、素直に豚肉にしとけばよかった。

Photo_23 ←同行の彼女は「きのこほうとう」を注文。

 鉄鍋が熱々で、時間が経っても冷めにくいのは良いのですが、やっぱり量が多いや(値段と量が3分の2サイズがあれば・・・)。でも、最後までなんとか頑張って食べました。

 そういえば、これ昼飯のはずだったのですが、食べる事ができたの4時くらいです。それまでアイスやらおやきやらドリンクやらで空腹を満たしていました(けっこう食ってるわけですが)。

Photo_25

←甲斐善光寺で食べた「信玄アイス」。きな粉と黒蜜で(゚д゚)ウマー。

 「信玄もち」といい、武田信玄ってきな粉が好きだったのか知らん、と疑問に感じて調べたところ、どうやら歴史的な意味はないようです。

 ・・・うまいからいいけど。ただ、「信玄もち」の食べにくさといったら、ありません。きな粉と黒蜜ともちのバランスが、微妙すぎると思います。

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第6回風太郎祭

 山田風太郎記念館のHPトップのお知らせが更新され、今年度の風太郎祭の情報が。

第6回風太郎祭 
 期間:平成20年10月25日~11月24日
 企画展:「未発表資料にみる風太郎」(期間中、記念館展示室にて)

講演会:菊地秀行氏
 『私と山田風太郎ー作家を作った作家ー』
  11月22(土) 13:00開場13:30開演
  養父市関宮町ノビアホールにて

 兵庫県にお出掛けする目処が10月下旬に出来そうで、ばっちり風太郎祭の特別展示は見れそうなのですが、11月に菊地氏の講演会があるというのであれば、そちらも是非拝聴したいではありませんか! (当然、「忍者月影抄」を例にとって、先生をべた褒めするわけですね?)

 ・・・といって、さすがに二ヶ月続けて記念館に足を運ぶ余裕はないので、ちょっとスケジュールを立て直そうかなあ。嬉しい悩みというか、11月に行けば講演も企画も見れて一石二鳥ではありますけど。

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「クローバーフィールド HAKAISHA」

 劇場公開時に観に行けなかった「クローバーフィールド HAKAISHA」を鑑賞。

 日本の怪獣映画に望んで観ることが叶わなかった映像を、この映画でたらふく観ることができた、という一点だけでも評価したい作品です。結局、謎だらけのままで終わってしまうというところが、この映画の作風を表しているのでしょうし、続編ができて、今度こそモンスターVS米軍の戦闘を主眼に置いたSF映画になったとしても、それはそれでアリだと思うのです。

 意外だったのは、HAKAISHA=モンスターの出てくるカットが、想像していた以上に多かったということで、てっきりラストまでモンスターの全容がわからずに物語が進むと考えていたので、この正体の知れないHAKAISHAが頻繁に画面に登場することにより、かえって緊張感が薄れたかな、という思いがあります(クライマックスの大写しは、むしろ無くても良かったような気が・・・)。

 それにしても、副題の”HAKAISHA”というのがいかにもB級っぽくて、なんで付ける必要があったのか理解に苦しんでいたのですが、ウィキを見ると、製作のJ・J・エイブラムスの指示によるものであったようです。この映画をつくるきっかけになった「ゴジラ」へのリスペクトが感じられますが、日本人ももっと「ゴジラ」を評価する必要があるのかもしれません。

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記念館からの手紙

Cimg1907  ←山田風太郎記念館から、会員証が届きました。黄色地に、白く染め抜かれた「風」の一字、先生のシルエットがシブい感じです。

Cimg1921 ←過去に発行された会報も、出来る限りわけてもらいたいとお願いしてあったのですが、今回会員証と一緒に同封していただけました(コピーのものもあります、と但し書きがしてありましたが、まったくもって無問題です。担当のNさんに、感謝)。

 「風の便り」と名づけられた会報は、現在第5号まで発行されているようですが、2007年は諸事情により発行できず、「なつめ通信」という形で風太郎の会や記念館の報告がなされたそうです(「なつめ通信」は、記念館に寄贈された棗の木に由来。風太郎先生も好きだったそうで)。

 さて、会報には会の活動報告や、先生のご学友の談話・記念館来館者の感想などが記載されているのですが、第2号の会報にとてもいい記事を見つけました(笑)。

 ”関宮小学生が、「風太郎ガイドブック」を作成。”というもので、2003年当時6年生だった子供たち21人が、記念館を見学し、各々自分なりのガイドブックを書き上げた、というものです。

 ―――山田風太郎を読む小学生って、素敵だなあ。

 実際、作品にどの程度触れたのか、はっきりしたことは会報の記事を読んだだけでは判りませんが、自分も小学生のときに「伊賀忍法帖」「魔界転生(上)」を読んでいるので、まあ早すぎる、ということもないでしょう。

 このガイドブック、記念館にいけば見れるかな? お楽しみがひとつ、増えました。

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「殺戮にいたる病」

 我孫子武丸著「殺戮にいたる病」読了。

 確か、デビッド・フィンチャー監督「ゾディアック」のDVD発売にあわせて、アマゾンで一緒に注文したはずだから、いったい読み終えるのにどんだけ時間がかかってるのかっつー話です(まあ、実質2日で読みましたが・・・)。

 こういう叙述系のトリックは好きで、読む前から結末にワクテカしていたものですが、なんせ中盤までの犯人の行動の描写があまりにも凄惨で、むしろそっちの方に気をとられたせいか、最後まで読んだときも、

 「・・・・・・はあ??」

 という気分が抜けないのでした。もうこれについては自分の読解力のなさを弁護する気はさらさらありません(トリックが判らないという意味ではなく、どこでどう騙されたのかが整理できないため、「解説」でいう”呆然感”の実態が見えない、ということです―――ああ、なんか解りにくい・・・)。

 

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「アメリカンギャングスター」

 リドリー・スコット作品が好きなので、「アメリカンギャングスター」を観るのは当然の流れだと思うのですが、買うほどのことはなかったかな(しかも3枚組のバージョン・六千円)、というのが正直な感想。同じリドリー・スコット×ラッセル・クロウなら、「グラディエーター」のほうが数段よかったです。

 まず予告編で受けた印象と、本編の内容がまったくかみ合っていなかったのが、非常に悔やまれます。そもそも映画のコピーが、「その道を進むなら、このおれ(ラッセル・クロウ)を倒して行け」というものなのに、主演の二人が直に言葉を交わすのが、映画ももう終わろうかという時間だというのがいただけません。まー鵜呑みにするほうにも責任の一環がある、というのならもう何も言えませんが・・・。コピーと予告編を見た人が、ジョン・ローン×ミッキー・ロークの、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のような映画を想像するのは、それほど飛躍ではないはずです。

 実話に基づく限り、あまり映画的な展開を期待してもいけないのでしょうが、それにしても予告がもう少し映画の内容を示してくれていたのなら、評価はもっと違うものになったと思います(映像と音楽はよかっただけに・・・)。劇場公開版より18分長いとかいう別バージョンを観れば、また感想も変わってくるのかなー。

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