斬り結ぶ刀の下ぞ地獄なれ
赤城毅著「隻眼の狼 時の剣」読了(以下ネタバレもありますので、未読の方はご注意を)。
柳生十兵衛(主人公に非ず)がいて、宮本武蔵がいて、天草四郎がいて、柳生宗矩がいて、柳生兵庫助がいて―――山田風太郎の「魔界転生」をこよなく愛する者にとって、これほどの顔ぶれが揃う作品が楽しくないわけがないのですが、時代劇の体裁をとっているとはいえ、こちらの本質は「仮面ライダー」シリーズのような、等身大のヒーローもので(主人公の敵方に、蝙蝠男や蜘蛛男、蜥蜴男が出てくるあたり、ねらっているとしか思えない)、よく言えば王道、悪く言えば単調なストーリーに、少々肩透かしを喰らった気分になりました。
この作品の柳生十兵衛は、最初から最後まで悪役を貫き通しているのですが、没年に修正が入っているとはいえ、主人公が不老不死という設定では、いかな超人的な描写をされようと、柳生十兵衛が勝てる道理はないわけで・・・これが小説ではなく、コミックかなにかであったなら、もっと満足のいく感想を得られていたかもしれません。
ただひとつ、気に入ったところといえば、「マクベス」を朗じる柳生十兵衛の描写かなあ。続きがありそうな終わり方をしていましたが、柳生十兵衛亡き世界となっては、後日譚に興味が湧かないのも事実なのです。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「柳生薔薇剣」(2008.12.21)
- ”新宿”の柳生十兵衛(2008.11.09)
- 斬り結ぶ刀の下ぞ地獄なれ(2008.10.12)
- 黒い柳生十兵衛(2008.10.09)
- 「信玄忍法帖」(2008.09.27)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/220825/42766920
この記事へのトラックバック一覧です: 斬り結ぶ刀の下ぞ地獄なれ:


コメント