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斬り結ぶ刀の下ぞ地獄なれ

 赤城毅著「隻眼の狼 時の剣」読了(以下ネタバレもありますので、未読の方はご注意を)。

 柳生十兵衛(主人公に非ず)がいて、宮本武蔵がいて、天草四郎がいて、柳生宗矩がいて、柳生兵庫助がいて―――山田風太郎の「魔界転生」をこよなく愛する者にとって、これほどの顔ぶれが揃う作品が楽しくないわけがないのですが、時代劇の体裁をとっているとはいえ、こちらの本質は「仮面ライダー」シリーズのような、等身大のヒーローもので(主人公の敵方に、蝙蝠男や蜘蛛男、蜥蜴男が出てくるあたり、ねらっているとしか思えない)、よく言えば王道、悪く言えば単調なストーリーに、少々肩透かしを喰らった気分になりました。

 この作品の柳生十兵衛は、最初から最後まで悪役を貫き通しているのですが、没年に修正が入っているとはいえ、主人公が不老不死という設定では、いかな超人的な描写をされようと、柳生十兵衛が勝てる道理はないわけで・・・これが小説ではなく、コミックかなにかであったなら、もっと満足のいく感想を得られていたかもしれません。

 ただひとつ、気に入ったところといえば、「マクベス」を朗じる柳生十兵衛の描写かなあ。続きがありそうな終わり方をしていましたが、柳生十兵衛亡き世界となっては、後日譚に興味が湧かないのも事実なのです。

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