西国第三番札所(忍法帖の世界③)~粉河寺 其の弐
話を本筋に戻します。「魔界転生」で、作者は粉河寺を次のように紹介しています。
【この寺は奈良朝時代の創建で、開基の年代からいえば、高野山よりもっと古い。平安朝から室町時代にいたっては、堂塔すべて五百有余年をかぞえたという。が、みずからもつ威厳のためにかえって豊太閤に抵抗して、天正十三年、全山焼き払われた。
その後、ふたたびほそぼそと再建にとりかかり、頼宣が入国してからは多少の援助があったとはいうものの、なおこの当時、風猛山の麓、一万五千余坪の境内は、ただ茫々と吹きなびく秋草の野といってもいい状態であった。】
いうまでもなく、「魔界転生」作中で、粉河寺は柳生十兵衛と天草四郎の決着の場となりました。同時に、父である柳生但馬守が、転生衆の中に存在する事を天草四郎から聞き、十兵衛の苦悶と懊悩が始まる場所でもあります。
←粉河寺大門。天草四郎が、御詠歌を口ずさみながら、お品に狼藉を働いたのは、この大門の屋根の上であったでしょうか。
大門の内側。左手に土産物屋兼、食事処があって、ここで先に昼食を摂ることにしました。そばを注文すると、「よかったら柿寿司もどうぞ」と薦められる。自分たちは食べませんでしたが、他の客のテーブルにもれなく柿寿司が置いてありました。
自分の記憶に間違いがなければ、お店の屋号は「たのもしや」だったような・・・。どこかで聞いた名前だな、と思ったら、御詠歌の「仏の誓い たのもしの身や」から来ている?
待てよ、【粉河寺の山門の石段を、たたたたと駆けのぼっていった】という描写から察するに、戦いの舞台はこちらの方??
【「十兵衛さまっ」
空から声がきこえたのは、山門を境内へ走りぬけようとしたときだ。
同時に、その内側の軒をかすめて、どっとひとつの肉塊がおちて来た。一瞬、上を仰いで、それを受け止める。・・・・・・
――変幻自在の女忍者の出没におどろくよりも、
「きゃつ。――」
切歯の声とともに、同じく山門の上から境内へ――三四間もかなたへ、ぽうんと飛び下りたもう一つの影に、柳生十兵衛はきっと隻眼をむけていた。】
←中門内側。戦闘の場所としては、こっちのほうがしっくりきますねえ。
映画や舞台等の他媒体で、天草四郎はラスボスとなっているがゆえに、粉河寺での名(迷)勝負が一度として映像化されていないこと(劇画除く)に不満を覚えます(笑)。原作のここのくだり、好きだわー。
寺ですから、当然本堂もあります。南東側には立派な楠木も。山門のことしか頭になかった自分って一体・・・。
巡礼姿の参拝者が多く見受けられたのも印象的でした。一度、本気で西国三十三ヶ所めぐりをしてみたいものです。
さて、ここからそう遠くない場所に根来忍法僧の総本山があったのです。
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