故山の剣侠(忍法帖の世界⑦)~柳生
【柳生谷に入ると、ふいに山国を歩いているような感じがする。五月の半ばすぎ――というと、いまの暦で六月中旬になるが、あちらこちらで鶯が鳴いている。・・・・・・】
故意か偶然か、「魔界転生」の導入部での、柳生谷を彩る季節は、まさに、いまと同じ季節ではありませんか! いやー、読み返してびっくりしました(笑)。
さて、柳生への旅も今回で4度目となりました。猫額大の狭い土地と表現されるけれど、見どころはそれなりに多く、2時間程度ではその全てを回りきれるものではありません。とくに今回は日帰りの強行軍なので、ポイントを芳徳禅寺に絞って行くことに決めていました。芳徳寺は、初めて柳生に来た折に寄ったきりですから、かれこれ15年ぶりくらいになります。
十兵衛食堂近くの駐車場に車を止める。柳生の家紋である【二蓋笠】を観るだけで興奮してくる私は、変人でしょうか(いや、きっとわかってくれる人もいるはず)。それにしても、駐車場は無人で、料金の500円は管理小屋の机の上に置かれたビールジョッキに入れといてくれ、という用心のなさ。
到着時間が早かったため、十兵衛食堂もまだ閉まっていましたが、柳生というところは、何時きても観光地っぽくないなあ、というのが率直な印象です。まあ、そこがいいんだけれど、もうちょっと、欲を出してくれてもいいような気もします。柳生家の家紋入りのグッズなんかが売っていればいいのに、と思う今日この頃。
芳徳寺への道を歩いていると、ふとこんな看板が目に付きました。
――あれ、前来た時って、こんなのあったっけなあ。嫁さんも憶えていないようなので、見落としていたわけではないようですが、とりあえず、【柳生十兵衛生誕地】ってのは、只事ではない感じです。芳徳寺へも抜けれるようなので、とりあえず進んでみることに。
手前のもみじ橋っぽい橋を渡って、さらに数十メートル行くと・・・・・・。
由来を書いた立て札らしきものもなく、真相は謎のままに。
不意打ち的に【がっかりイリュージョン】を見せ付けられた気持ちになるも、気を取り直して、芳徳寺への道を登っていきます。
それでも、梢を通る風は熱をおびる肌に心地よく、最初の「魔界転生」本文からの引用よろしく、鶯のさえずりが時折聞こえてきて、心を和ませてくれるのです。
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