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転生のとき

 キリン食堂公演「魔界転生」観て来ました!

 開場の30分以上前に劇場に着いたのですが、すでに100人ほど開場街の行列が出来ていまして、新橋演舞場の「魔界転生」や、御園座での「エドの舞踏会」公演時には見られなかった光景だったので、ちょっとびっくりしました。嫁と一緒に並んでいる最中、どこかで体験した光景だなー、と考えていたところ、苗場での、とんねるずのコントに並んでいたことを思い出して、嫁にそのことを話したら、「あー、そんな感じだね」と同意されました(もっとも、今回は全席自由でしたので、早くに並べばそれだけ良い席が取れるという事情も絡み合っていたようですが)。

 さて、席に置いてあった、簡単な公演内容のパンフレットを開いてみると、出演者と役名の紹介が記載されており、十兵衛を筆頭とする【柳生一門】と、天草四郎を首魁とする【魔界衆】の構図はともかくとして、その他に【伊豆守一家】【江戸幕府】【町衆】【天草の民】【紀州徳川】などがあり、このあたり、深作版「魔界転生」と平山版「魔界転生」のリミックスを想像させるのですが、さらに、悪魔・天使・精霊がキャスティングされていることを知るに及んで、「こりゃあ、ただの【魔界転生】じゃねえな」という予感が頭をよぎったのです。

 以下、ストーリーに関わる内容も含まれますが、キリン食堂公演「魔界転生」についての簡単なポイント説明と、率直な感想を。原作信奉者の方々は、驚愕の脚色に目を剥かれることかと思いますが・・・。

・柳生十人衆は、柳生七人(六人)衆に

・宗冬も登場。ただし、十兵衛兄にタメ口の不遜なやつ

・べらんめえ口調が気になる松平伊豆守(勝海舟か・・・)

・魔界衆は、天草四郎・柳生但馬守・宮本武蔵・荒木又右衛門・宝蔵院胤舜の五名(ここ重要)

・宝蔵院胤舜のみ、転生の場面なしでいきなり仲間になってた

・荒木より、宗冬の背が高いのが絵的にどうも。宝蔵院胤舜役の役者さんの背が他の人と比べても高かったので、こちらを荒木役にしたほうがよかったかも

・冗談のようですが、クララお品が、クララとお品に(原作に近い役割を果たしているのは、お品。クララは巫女役で、四郎の許婚)

・クララが体の一部を失うごとに、魔界衆が転生。クララが死ぬと魔界衆も土に還る設定だが、基本的にただの刀で斬られたくらいでは魔界衆は死なない

・だもんで、魔界衆を斬れるように、柳生十兵衛をはじめとする柳生一門は、阿蘇の老巫女に祈祷で刀に霊力を備えてもらう

・――ああ、なんか少年誌的な設定だな

・だが、一番の問題はそこではなく、なんと、魔界衆のほとんどは十兵衛以外の柳生衆に斬られる(斬られない魔界衆もいる)

・十兵衛が斬った→柳生但馬守・天草四郎

・宮本武蔵→金丸内匠とともに爆死(!)

・宝蔵院胤舜→磯谷千八に斬られる

・荒木又右衛門→伊達佐十郎・お品・宗冬のチームにやられる(特に宗冬は凶悪で、後ろから斬りつける)

・ちなみに、由比正雪にも宗冬は後ろから斬りつける

・――宗冬、卑怯すぎるだろ!

・忍法帖世界ならば本来ならありえないことだが、柳生七人衆のうち、二名が生き残る(小栗丈馬・伊達佐十郎。そして、伊達佐十郎はお品と夫婦に)

 等々・・・・・・いや、もう、書きたいことがいっぱいあって、困ってしまいます(笑)。

 ここまで書いて、否定的な感想を持ったと思われたかも知れませんが、私はこの「魔界転生」は”全然あり”だと思っていまして、それはエンターテイメントとしてこの舞台がよく出来ていたからでしょうし、また、あらためて原作の懐の深さというものが実感できたような気がするのです(劇中で原作の宣伝もしてくれたのが、好印象でした)。

 アクションも頑張っていまして、特に座長の新井剣史氏演じる柳生十兵衛が、剣技だけでなく足技も駆使してみせたのは、とてもカッコよく、印象に残っています(柳生但馬守→天草戦ですげー斬られてたので心配になったけど)。

 最後に、気になる天使と悪魔さんたちは、おおむねダンスシーンで登場したのですが、冒頭の天草四郎の転生時に初登場したときは、後ろの席の女性客がぽつりと洩らした、

 「やべー、ストリップ始まったかと思ったw」

 という言葉にすべてが集約されています(笑)。まー、ダンスも想像していた以上にステキで、観に来てよかったなあと思わせるお芝居だったことには、間違いはないのでした。劇中で、来年「魔界転生2」をやるとか、新井剣史氏が冗談めかして言っていましたが、実現したら、見に行きますよ。 

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