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「厭魅の如き憑くもの」

 三津田信三著「厭魅の如き憑くもの」読了。

 年末~年始にかけて、一所懸命読むような類の本ではないとは思いますが、神々櫛村に起こった怪事件の全容と、結末が知りたくて、なにはさておき読みきりました。

 とても人間の仕業とはいえない怪現象のいくつかが、合理的かつ論理的に説明されていく過程というものは、ある種、興を削がれる作業になるおそれもありますが、この作品を始まりとする刀城言耶シリーズは、それでもなお説明のつかない不可解な現象はある、という部分を含みつつ、語られていくようです。そうした人知の及ばないホラー要素が、横溝正史や京極夏彦の代表的な作品の構成と大きく違うところでしょうか。

 ――世の中には、不思議なことなど何も無いのだよ

 では決してないのです。

 それにしても、刀城言耶が数多の怪事件を解決していく物語譚の、最初の事件としてこの作品があるならば、彼の今後の活躍には、きっと注目せざるをえないような推理の披露でありましたが、結論としてまわりくどく、そのために少しばかりやられたという感じが薄れたような気がするのは、私だけではないと思います。

 仕掛けを理解して、再度全体を通してみれば、とても面白かったと言えますが。

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