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2010年2月

忍城戦記・2作

 忍城を題材にとりあつかったものを、続けて2作品読みました。

 1作目は「のぼうの城」。非常に読みやすい文体なので、歴史・時代物初めて、という読者はすんなりと受け入れられるのではないでしょうか。

 最後まで読んでみると、成田長親が主役であったのかというと、どうもそうではないような気がして、攻め方の石田三成と、守り方の成田長親の人柄や価値観を対比してこの物語を見るとなれば、もっと双方の掘り下げた人物描写がエピソードがあったほうが、満足できたかもしれません。

 もともとシナリオとして書いたものを小説として書き起こしたようですから、あまり深い意図はないのかもしれませんが、それならばいっそそのまま映画化してしまえばよかったのに、と思います。完全映像化されるならば、見せ場は多い映画になりそうですが、この小説自体のエンターテイメントとしての醍醐味は、長親の開戦の口上と、城の明け渡し場面くらいかなあ。

 2作目は、宮本昌孝著「紅蓮の狼」。こちら、メインは忍城の攻防戦ではなく、甲斐姫の幼少から晩年にかけての物語となっていますが、ある種お伽噺的なエピソードが、説得力のある筆致で語られていて、「のぼうの城」と同様に一気に読みきることができました。

 この作者に関しては「剣豪将軍義輝」でその名前を見知っていたくらいですが、他の作品にも手をつけてみてもいいかな、と感じ入った次第です。

 あ、この忍城を扱った2作品の甲斐姫のビジュアルについては、コーエーの「戦国無双3」のあれで、割と補完できるものと考えます。

 

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「のぼうの城」

 いつか読まねばならんなあ、と考えていた和田竜著「のぼうの城」の購入に踏み切ったのを契機に、埼玉県行田市の忍城址に行ってきました。

 ――私からしたら、「風来忍法帖」の舞台、という意味合いが大きいわけですが。

 「のぼうの城」の、やけに派手な金ぴかの帯に、”映画化決定!”とでかでかと謳われていたので、地元もさぞや盛り上がっているであろうと勢い込んで訪れてみたものですが、まだ時期的に浮かれるのはちょっと早かったようです。

 これから、キャストやスタッフが決まっていくにつれて、徐々にお祭りムードになっていくんでしょうねえ。

 うーん、うらやましい。またしばらくしたら行ってみようかしら。

 ”甲斐姫饅頭”とか、お土産で売り出してくれれば、きっと買って帰ります。

 「のぼうの城」自体は、まだ最初の数章に手をかけたばかりです。甲斐姫が出てきたばかりのところ。作品そのものは読みやすいな、と思うのですが、「風来忍法帖」の麻也姫の印象が強いので、いろいろと比較してしまいそう。

 でも、こちらの主役はあくまで成田長親のようなので、この人物を中心にどう戦局が変化していくのか、読み進めるのが楽しみです(そういえば、何かのインタビューで読んだ気がするのですが、「のぼうの城」って、もともと映画化のために準備していた脚本を小説化したんじゃなかったでしたっけ?)。 

 さて、帰り道、「馬車道」という地元にはないレストランがあったのですが、嫁が鼻息を荒くして「袴! 袴!」というので、食事をとって帰宅することにしました。ここのお店のウエイトレスさんが、そうした格好をしているといった意味だったようで、料理を運んでくるウエイトレスさんを見つけては、頑張って観察しようとする嫁の姿に、ひとかたならぬ戦慄を覚えたものです。

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「山風短」第二話

 「山風短」第一幕『くノ一紅騎兵』第二話。

 月刊誌なので、ページ数が多いです。週刊誌ペースのつもりで読んでいると、「このあたりで今週は終いかな」と思った先がまだまだあったりして、読み応えたっぷりでよいのですが、続きはまた一ヶ月先なのです。

 今回は、前半で上杉家の重臣5名が、大島山十郎の素性・目的を巡って談義をしていますが、こちら原作では地の文でつかわれているものを、うまく台詞に落とし込んでありますね。

 個人的に、

 【この五人の豪傑たちは、ひとかたならぬへそまがりのくせに、熱狂的な謙信ファンであることは共通している。それはむしろマニアにちかい。それだけにあの大島山十郎の

 「わたしは謙信さまが好きなのです」

 といった言葉がたんに心うれしいばかりでなく、その眼つき、息づかいから決してにせものではないことを感得したのだ。】

 という心情を、も少し絵で見たかった気がします。まあ、本筋にはまったく関係ないことながら、車丹波の台詞だけじゃ物足りないよ(笑)。

 ――そして、後半は直江山城守のご登場!

 初登場時は、ややおとなしめの様相に少々ひょうしぬけしながらも、愛の前立てをつけた兜を着用しての見開きページでは、さすがの貫禄! 

 チョコウエハースのカードにしてくれてかまわない!

 とはいえ・・・・・・ああ、やっぱり、この作品を題材に筆をとるのは、一年遅かったのではないでしょうか。しかし、この一年遅れた感じが、『くノ一紅騎兵』に似合っているともいえるかもしれません。

 

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「THE FINAL SOLUTION」

 久しぶりに翻訳物ミステリを読みました。

 原題が、「THE FINAL SOLUTION」というのですが、翻訳されるにあたって、「シャーロック・ホームズ 最後の解決」というタイトルがつけられています。

 ――っていうか、この邦題、壮絶なネタばれじゃね?

 もちろん、ホームズものとわかったからこそ、購入した部分もあるのですが、とある事件の解決に乗り出すサウス・ダウンズの年老いた養蜂家が、実は世界一有名な諮問探偵であったという真実こそが、この小説の肝であったような気がするのです。

 実際、作中で語られる事件は、さほど劇的でも、謎めいてもおらず、ホームズの名推理が発揮されるような場面もなく、オウムの歌う数字の意味も、曖昧模糊として、至極中途半端な印象を受けました。

 ホームズ物と知らなければ手に取ることもなかったでしょうが、知って読めば満足感が得られない、実に困った小説なのです。著者のマイケル・シェイボンは、「ユダヤ警官同盟」という作品で多数の賞をとったくらいですから、それは素晴らしい作家なのでしょうけれども。

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ねがい

 気が早いですが、今年の「風太郎祭」に期待すること。

 

 ・講演会に京極夏彦氏

 ・キリン食堂さんの「魔界転生2」公演

 ・風太郎先生にゆかりのある品のオークション

 ・啓子婦人手ずからの、「チーズの肉トロ」試食会(これはむしろ、お金を出してでも食べてみたいです)

 まー、内容はともかく、今年も無事に開催されますように!

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