【山風短】第三幕「青春探偵団」第一話
「青春探偵団」は、【廣済堂文庫・山田風太郎傑作大全】の第10巻として刊行された際、当然のごとく購入して読み始めたものでしたが、中途で頓挫してしまった一冊でもあります。
風太郎作品で途中で放り投げたのは、いまのところこれと「忍者黒白草紙」のみで、「忍者黒白草紙」は「アイゼンファウスト」の魅力をもってしても未だ再読に興が乗らないところがあり、今回せがわまさき先生の【山風短】第三幕開始によって、ようやく「青春探偵団」の全読破に至る次第となりました。
再読には光文社の【山田風太郎ミステリ傑作選6・ユーモア篇】所収の「青春探偵団」を選びましたが、解説を見て驚いたのは、この「ユーモア篇」に収められている作品の多くが忍法帖シリーズ前期の執筆時期と重なっていたことです。
「青春探偵団」においては「甲賀忍法帖」とぴったり合致しています。
文章だけ見てしまえば、「青春探偵団」はこの現在に読んでいかにも古い印象を受けるのですが、それに対しての「甲賀忍法帖」の”新しさ”って、いったいなんなんでしょう? それは忍法帖シリーズの表現の独自・普遍性が際立っていることが一番の要因のように思われるのですが、冷静に考えれば、「青春探偵団」が執筆当時の”現代”であったことのほうが、はるかに大きな影響を与えているのでしょう。
忍法帖シリーズの、主だった舞台である江戸時代は、現在からしたらはるかにファンタジーな世界を包括した時代に間違いはないのですから。
とはいいましても、「青春探偵団」を読み始めてみれば、これはこれで面白き読み物なのです。【山風短】第三幕に取り上げられたのは、全六話中のまだ一話にすぎなく、なぜあえて「砂の城」を選択したか、というところに興味は集中するのは仕方のないところで、ただ全編を読み終えた今となっては、せがわ先生は「青春探偵団」の再構築を確実にしておられるということが、はっきりと理解できました。
「(なにもかも)古いなあ・・・・・」
などと思いつつ読むのが、「青春探偵団」のある意味正しい読み方かもしれません。
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