山風短

【山風短】第三幕「青春探偵団」第二話

 【山風短】第三幕「青春探偵団」第二話、テンポよく進んでいる様子で、あと2回くらいで終わってしまうようなペースではあります。

 原作は数話で構成されていましたから、単行本化のときのことを考えると、もう1エピソード紹介されるかもしれませんね。個人的には、寮を入れ替える話がけっこうなスリル感でいいと思います。

 今回は半子が投擲した桃の実が悪漢の顔にぶち当たって、派手に血を噴出すところで笑ってしまいました。

 さて、第二幕「剣鬼喇嘛仏」を単行本であらためて読み直し、せがわ流のアレンジにまたしてもほれぼれしてしまったのです。あの人を食ったような設定は、山田風太郎ならではの奇抜さですけれど、読後感の清清しさは、やはり山田風太郎にはありえないものであり、せがわ先生の漫画家としての経験や、風太郎作品に対しての畏敬の念に溢れているからこそ、と感じるのです。

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【山風短】第三幕「青春探偵団」第一話

 「青春探偵団」は、【廣済堂文庫・山田風太郎傑作大全】の第10巻として刊行された際、当然のごとく購入して読み始めたものでしたが、中途で頓挫してしまった一冊でもあります。

 風太郎作品で途中で放り投げたのは、いまのところこれと「忍者黒白草紙」のみで、「忍者黒白草紙」は「アイゼンファウスト」の魅力をもってしても未だ再読に興が乗らないところがあり、今回せがわまさき先生の【山風短】第三幕開始によって、ようやく「青春探偵団」の全読破に至る次第となりました。

 再読には光文社の【山田風太郎ミステリ傑作選6・ユーモア篇】所収の「青春探偵団」を選びましたが、解説を見て驚いたのは、この「ユーモア篇」に収められている作品の多くが忍法帖シリーズ前期の執筆時期と重なっていたことです。

 「青春探偵団」においては「甲賀忍法帖」とぴったり合致しています。

 文章だけ見てしまえば、「青春探偵団」はこの現在に読んでいかにも古い印象を受けるのですが、それに対しての「甲賀忍法帖」の”新しさ”って、いったいなんなんでしょう? それは忍法帖シリーズの表現の独自・普遍性が際立っていることが一番の要因のように思われるのですが、冷静に考えれば、「青春探偵団」が執筆当時の”現代”であったことのほうが、はるかに大きな影響を与えているのでしょう。

 忍法帖シリーズの、主だった舞台である江戸時代は、現在からしたらはるかにファンタジーな世界を包括した時代に間違いはないのですから。

 とはいいましても、「青春探偵団」を読み始めてみれば、これはこれで面白き読み物なのです。【山風短】第三幕に取り上げられたのは、全六話中のまだ一話にすぎなく、なぜあえて「砂の城」を選択したか、というところに興味は集中するのは仕方のないところで、ただ全編を読み終えた今となっては、せがわ先生は「青春探偵団」の再構築を確実にしておられるということが、はっきりと理解できました。

 「(なにもかも)古いなあ・・・・・」

 などと思いつつ読むのが、「青春探偵団」のある意味正しい読み方かもしれません。

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【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」最終話

 【山風短】衝撃の第二幕、「剣鬼喇嘛仏」が七話をもって完結となりました。

 せがわ先生の手による登世が、なんとも可愛らしく健気だったものですから、原作と違うラストでも構いませんよ、という想いで読み続けてきたこの半年でしたが、原作を誤ることなく、終章(エピローグ)という形を追加し、新たに構築されたこの第二幕をもって、せがわまさきと山田風太郎のコンビネーションはますます成熟したのではないでしょうか。

 また、本筋とは関係ないですが、千姫を囲む女衆は、真田配下のくノ一たちではなかったのかと、余計な想像力をかき立てられてしまいます。

 しかも、この流れで、来たる第三幕の原作に選ばれたのが、「青春探偵団」とは!

 連載開始直後から、忍法帖以外のコミック化も期待していたこのシリーズですが、こちらの想像をはるかに超えた広がりを見せてくれそうです。

 次号の発売日まで心待ちにすることといたしましょう。

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【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」第六話

 月マガ買い逃したかと思っていたら、今日が発売日だったようで――。

 ともかく、今回は武蔵の顔がヤバ過ぎです(笑)。

 与五郎の、武蔵に対する想いとは対照的に、なんともギャグ風味の武蔵が新鮮でもあり、漫画の描写力の偉大さというものを改めて思い知ったような気がします。

 第一幕の「くノ一紅騎兵」は大島山十郎を筆頭とした”動”の描写に魅せられることが多でしたが、この第二幕は、登場人物の表情の豊かさが大きな見所ともなっているのではないでしょうか。与五郎に、

 「あのときの要領でもう一度やってみせよ」

 と言われたときの登世の表情といったら、もう!

 やっぱり、山田風太郎先生とせがわまさき先生の相性は抜群のようです。次回はいよいよ第二幕の閉幕となりますが、次なる第三幕でも「剣鬼喇嘛仏」以上の原作との融合を期待してしまうのです。

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【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」第四話

 【山風短】「剣鬼喇嘛仏」第四話がとても面白かったので、原作を読み返してみました。

 石川賢版の”剣鬼喇嘛仏”のインパクトが依然として強く、原作でも、武蔵にふたりまとめて胴斬りされて終わりか、と誤った認識をもっていたのですが、これは杞憂に終わりました――まあ、かといって、ハッピーエンドというわけでもなく、そもそも忍法帖にハッピーエンドはそうそうないわけで。

 あくまで四話までの流れをみて書くのですが、よくもまあ、せがわ先生はあの原作をここまでキュートな作品に仕立て上げたものだと、正直、感謝しています。

 この作品について、叶うならば、原作と違う結末でもアリかな、と思ってしまうのです。

 

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【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」第三話

 仕事に忙殺されて、危うく今月の月刊ヤングマガジンを買い逃すところでした・・・・・(2件目のコンビニであっさり見つかったからよかったようなものの)。

 今号については、なにより、登世の、羞恥の表情に尽きますね~。

 素直に、可愛い、と思います。

 この第二幕のために、原作を読み返すということはまだしていませんが、多分、原作ではもっとドライな、作業的な反応をしていたのではないか、と推測するのですが、こういうアレンジをされるせがわ先生には、本当に頭が下がる思いです。

 先生の手による、山田風太郎の別の物語が、まだまだ読めるということを、心から嬉しく感じます。

 原作ともども、「剣鬼喇嘛仏」はもっと評価されるべきでしょう(笑)。

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【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」第一話・第二話

 (とっくに)始まりました、せがわまさき先生による【山風短】第二幕「剣鬼喇嘛仏」!

 故・石川賢先生の、「柳生十兵衛死す」にゲスト出演した「剣鬼喇嘛仏」のイメージが強烈だったため、いったいどんなことになるのやらと、連載が始まるまで戦々恐々の体でしたが、せがわ流の、なんとも颯爽・可憐とした容姿の美男美女の登場を見て、これは当初の思惑をはるかに凌駕したものになりうるだろう、と確信したのです。

 とはいっても、第一話でその容姿にいちばん吸い寄せられたのは、ほかでもない宮本武蔵のほうでして、この剣士というより、それこそ剣鬼のような風貌の人物が、これより30年ほどものちに柳生十兵衛と相まみえるシーンを想像するだけで、ざわざわと鳥肌の立つ思いがするのです。

 ・・・・・・やっぱ見たいよう、せがわ先生の筆による「魔界転生」。いつか、ワンカットでもいいから、転生衆と柳生十兵衛の対峙するシーンが見てみたいです!

 そういえば、この武蔵って誰かに似てるなあ、と考え、思い至ったのが、「無限の住人」の閑馬永空なのですが、よくよくみたらそんなに似てないかー。それより第二話の長岡与五郎は、まるで「蒼天航路」の曹操さまのように見受けられます。

 ――まあ、登世が可愛いというだけで、充分なんですけどね。

 単行本「山風短」第一巻も、もちろん買いましたとも。

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「くノ一紅騎兵」最終話

 「山風短」第一幕【くノ一紅騎兵】完結。

 原作よりわかりやすい説明がされていて、ようやく納得がいった、という感じです。

 子供を預けて景勝の元を去る陽炎のカットは、凛々しいがゆえにもの哀しいものがあり、原作を読んだ際に、ラストシーンは画になるなー、と思い描いていたものが、せがわ氏によりイメージ通りに表現されていたのも、風太郎先生・せがわ先生の両ファンとして、純粋にうれしかったです。

 お次は、まさかの「剣鬼喇嘛仏」だそうで――

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「山風短」第四話

 せがわ先生の「山風短」の執筆が始まって、早四話、いまいち盛り上がらないのは、月刊ペースだからというわけではないでしょう。

 今回の見所は、山十郎の×××カットと、徳川家康のド迫力な見開きに尽きるのは他に異存のないところだとは思うのですが、このまま原作通りに進むのか、せがわ先生なりの解釈が入るかで、この第一幕、ひいては「山風短」の評価が変わってくるような気もします。

 基本的には原作遵守なんでしょうが、私、原作をどう解釈していいのか、いまだにわかりません。

 単行本になったら、第一幕が「くノ一紅騎兵」になった経緯とか、初期設定とか、せがわ先生の個人的な原作の作品評なんかで数ページ割いてもらえると楽しいだろうなあ、と考える次第です。

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「山風短」第二話

 「山風短」第一幕『くノ一紅騎兵』第二話。

 月刊誌なので、ページ数が多いです。週刊誌ペースのつもりで読んでいると、「このあたりで今週は終いかな」と思った先がまだまだあったりして、読み応えたっぷりでよいのですが、続きはまた一ヶ月先なのです。

 今回は、前半で上杉家の重臣5名が、大島山十郎の素性・目的を巡って談義をしていますが、こちら原作では地の文でつかわれているものを、うまく台詞に落とし込んでありますね。

 個人的に、

 【この五人の豪傑たちは、ひとかたならぬへそまがりのくせに、熱狂的な謙信ファンであることは共通している。それはむしろマニアにちかい。それだけにあの大島山十郎の

 「わたしは謙信さまが好きなのです」

 といった言葉がたんに心うれしいばかりでなく、その眼つき、息づかいから決してにせものではないことを感得したのだ。】

 という心情を、も少し絵で見たかった気がします。まあ、本筋にはまったく関係ないことながら、車丹波の台詞だけじゃ物足りないよ(笑)。

 ――そして、後半は直江山城守のご登場!

 初登場時は、ややおとなしめの様相に少々ひょうしぬけしながらも、愛の前立てをつけた兜を着用しての見開きページでは、さすがの貫禄! 

 チョコウエハースのカードにしてくれてかまわない!

 とはいえ・・・・・・ああ、やっぱり、この作品を題材に筆をとるのは、一年遅かったのではないでしょうか。しかし、この一年遅れた感じが、『くノ一紅騎兵』に似合っているともいえるかもしれません。

 

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